ガイドラインとキャリアラダーを目標設定に活用
セッションの冒頭、佐藤氏は会場の参加者に対して4つの質問を投げかけた。「事業に貢献できている」と実感している人、「事業への貢献が評価されている」と実感している人、エンジニアの評価者である人、自社に開発組織がある人の4つだ。最初の2つの質問に手を挙げた人は会場の10分の1から15分の1程度にとどまったものの、エンジニアの評価者である人は半数弱、自社に開発組織がある人は大多数が手を挙げた。

多くのエンジニアが「開発や評価の体制はあるものの、事業貢献の実感や評価に課題を感じている」ことが浮き彫りになったところで、佐藤氏は改めてセッションのポイントとして「事業に貢献するエンジニアに期待されるスキルや振る舞い」「事業貢献のために人事制度をどのように活用しているか」の2点を再掲した。

続いて、各社のキャリアラダーについての詳細な説明が行われた。先陣を切ったのは渡部氏だ。渡部氏の所属するメルカリグループでは、グループ全体で共通のエンジニア評価システムを採用していると紹介する。ここではOKRを目標管理ツールとして使用しているが、これは直接評価には使用せず、各グレードごとに行う「成果評価」と「バリュー評価」の2軸で評価を行っていると説明した。

メルカリグループのキャリアラダーは、グループ全体の共通グレード定義である「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」の3バリュー(現在はMove Fastを加えた4バリュー)から成るGrade Difinitionに加え、エンジニアリングに必要なバリューを定義したエンジニアリングラダー、バリューを補完するエンジニアリングプリンシパルで構成されている。
成果評価においては、直接的な事業貢献の評価はもちろん「事業貢献ができているということは、その事業貢献をするための能力が発揮できているということ」(渡部氏)という考え方から、バリュー面の評価を行うことで能力の評価を間接的に行っているとした。
さらにOKRについては、マネージャーと一緒に目標設定を行うという。達成度や割合としては低かったとしても、「全体の成果が高ければ、その人は高く評価するべきだという思想で運用している」と渡部氏は言う。