CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、Webサイトの立ち上げやコンテンツ管理ができるシステムです。専門的なプログラミング知識がなくても、Webページの作成や編集などが簡単に行えます。
CMSを選ぶ際は、コストや機能、サポート体制など、比較すべきポイントが多くあります。本記事では、CMSを選ぶ際に見るべきポイントと代表的なツールを紹介します。この記事を参考に、自社の予算や運用体制に合ったCMSを見つけてください。
CMSを比較するポイントは次の6つです。
CMSには、基本的なコンテンツ作成・編集機能のほか、便利な機能を備えているツールがあります。作りたいWebサイトの目的やチーム体制などを考慮して、あらかじめ必要な機能を洗い出しておき、求める機能が充実したツールを選ぶと良いでしょう。
特に以下の機能の有無や料金(オプション料金が必要かどうか)、精度は、ツールによって差があります。
例えばECサイトを構築する場合、決済機能は欠かせません。さらに、商品ページやカテゴリページに適したデザインテンプレートを備えたCMSなら、よりスムーズにサイトの構築が進みます。
CMSの操作性は、運用担当者の作業効率に直結します。投稿や設定などがスムーズにできるよう、誰でも直感的に操作できるCMSが理想です。
そのほか、Excelや自社システムなど、普段から利用しているツールと操作感やUIが近いツールを選ぶと、ツール活用のハードルが下がります。導入前に操作性を確かめられるよう、無料体験やデモ版が用意されているCMSを選ぶのもおすすめです。
サイトを運用していくうちに、必要な機能が増えることも考えられます。一度導入したCMSの移行作業には工数がかかるため、長期的に使い続けられるよう、汎用性が高いCMSを選びましょう。特に、今後サイト規模の拡大やリニューアルの可能性がある場合は、プラグインやオプションプランで機能を拡張できるCMSがおすすめです。
なかでもWordPressに代表されるオープンソース型(ソースコードが公開されており無料で利用できる)CMSは、プラグインの種類が豊富です。例えば、サイトの入稿担当者が増えて誤操作の発生が課題となった場合は、プラグインを使ってダッシュボードをわかりやすくカスタマイズするなど、ニーズを反映した運用ができます。
CMSの料金には、初期費用とランニングコストの2種類があります。Webサイトを運用するうえで必要なコストを総合的に考えて料金を比較しましょう。
費用の相場は、CMSの種類によって異なります。
CMSの費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
CMSはWebサイトの管理システムであり、ユーザーデータをはじめとした企業の重要な情報を扱います。脆弱性対策や不正アクセス防止などのセキュリティ機能が重要です。
セキュリティ対策の方法や充実度も、CMSの種類によって傾向が異なります。
オープンソース型・オンプレミス型は社内でセキュリティ管理をする必要があるため、安全に運用するには、専門知識を持ったエンジニアが必要です。社内に専門家がいない場合は、セキュリティ対策が充実したクラウド型のCMSを選ぶと良いでしょう。
CMSの導入と運用をスムーズに進めるには、ツールの使い方や設定のフォロー、トラブル対応といったサポートの充実度が大切です。
ベンダーによって対応範囲が異なりますが、基本的には有料CMSのほうが充実したサポートを受けやすいでしょう。ただし、手厚いサポートを受けるには別途費用がかかることがあります。プランに含まれるサポートの内容や対応時間、料金などを確認しておきましょう。
一方、無料のオープンソース型CMSは、公式のサポート体制が限定的で、基本的には自己解決が求められます。主な解決手段は、ユーザーコミュニティでの情報交換です。
有料・無料を問わず、活発なユーザーコミュニティやオンライン研修があるCMSは、自身で学習を進めやすく、導入もスムーズに進む可能性が高いでしょう。
ここでは、おすすめのCMSとその特徴をまとめました。まずは、オープンソースCMSを中心に、基本的な機能を無料で使えるCMSを紹介します。
出典:WordPress
WordPressは、世界中で利用されているオープンソース型CMSです。全世界のCMSシェア率の約61%を占め、個人ブロガーから大手企業まで幅広いユーザーに支持されています。(2025年4月時点)
機能性にも優れており、記事投稿や画像アップロード、レイアウト調整などは標準搭載です。加えて、59,000種類におよぶプラグインを活用することで、お問い合わせフォームの設置やセキュリティ対策などの機能を追加できます。
【特徴】
【料金】
出典:Wix
Wixは、ブログや予約サイト、ネットショップなど幅広いサイト構築に対応できるクラウド型CMSです。
AIでサイトを作成したり、カスタマイズしたりできるAIサイトビルダー機能を搭載しています。そのほか、SEOに最適化されたサイト構造やSNSアカウントにリンクするアイコンの設置など、集客に便利な機能も充実しているのが特徴です。
これらの基本機能はすべて無料で利用でき、有料プランに加入すると、独自ドメインや24時間対応のWixカスタマーケアなどが利用できます。有料プランへの申し込み後、14日間以内に利用を中止した場合は全額返金されるため、使用感を確認してから導入を検討することも可能です。
【特徴】
【料金】
出典:Content Hub
HubSpotが提供するContent Hubは、コンテンツの管理だけでなく、マーケティング機能も充実したクラウド型CMSです。
CRMと自動連携しているため、CMS経由で創出した見込み客の情報を管理しやすいのが特徴です。CRMには自社サイト上で見込み客がとった行動履歴がすべて記録されるため、データをもとに、相手のニーズに合わせたナーチャリング施策を実行できます。アナリティクスや他のHubSpotツールと連携することで、さらに高度な分析も可能です。
また、AIを活用したコンテンツ生成機能も強みです。ブログ記事のアイデア出しからアウトライン作成、記事本文の生成まで、コンテンツ制作を効率化できます。Web担当者の作業負担を大幅に軽減し、戦略的な業務により多くの時間を割くことができるため、少人数チームでの運用に最適です。
Webサイト作成、AI搭載のブログ生成などの機能は無料でご利用いただけます。Webサイトの規模拡大や動的コンテンツによるパーソナライズなどは、ニーズに応じて有料エディションで対応が可能です。
【特徴】
【料金】
出典:Drupal
Drupalは、大規模なWebサイト構築に定評があり、世界中の企業や政府機関、教育機関で採用されているオープンソース型CMSです。大規模なコンテンツ管理が必要な、ポータルサイトなどの構築に適しています。また、標準でおよそ100言語に対応する多言語機能を備えており、グローバル展開を視野に入れたWebサイト構築にも最適です。
拡張モジュールが充実していることも特徴で、高度なカスタマイズに対応できます。ただし日本語による情報が比較的少なく、導入・運用ができる人材の確保が必要です。
【特徴】
【料金】
無料で使えるCMSをもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ここからは、有料CMSを紹介します。
出典:Movable Type
Movable Typeは、国内5万サイト以上に導入されているCMSです。
セキュリティに優れていることや、サイト規模を問わず構築ができる汎用性から、大企業や官公庁、大学などでも採用実績があります。セキュリティリスクとなりやすい拡張プラグインも、ほとんどが開発元であるシックス・アパートのパートナーによるもののため安心です。
Movable Typeにはソフトウェア版・クラウド版・エンタープライズ向けなどのラインナップがあります。ソフトウェア版は、ライセンスを購入して自社サーバーにインストールするオンプレミス型の製品です。
なお、年間メンテナンス(有料)を購入すると、継続して最新バージョンとテクニカルサポートの提供を受けられます。
【特徴】
【料金】
Adobe Experience Manager(AEM)は、Adobeが提供するクラウド型CMS・DAM(デジタルアセット管理)ツールです。Adobe Experience Cloudと呼ばれる統合型プラットフォームの製品のひとつで、CMS機能を持つAEM Sitesと、DAM機能を持つAEM Assetsから構成されています。AEM Sites単独での導入も可能ですが、AEM AssetsやAdobe Targetといった関連製品と組み合わせることで、活用の幅が広がります。
AEM Sitesでは、AI(Adobe Sensei GenAI)を活用して効率的にテキスト・画像コンテンツを制作できます。サイトのテストや分析にも対応しているため、迅速にコンテンツの最適化が可能です。
【特徴】
【料金】
出典:ferret One
ferret Oneは、BtoBサイトの構築・運用に特化したクラウド型CMSです。フォームの作成やPDFのダウンロードなど、問い合わせを増やすための施策に便利な機能がそろっています。PowerPointのような直感的な操作でページが編集できるのも特徴です。
さらに、メール配信やフォーム作成といったMA(マーケティングオートメーション)機能も同じ管理画面で扱えます。マーケティング戦略の立案からWebサイトの改善、問い合わせ後のメール送信までシームレスに行えるため、Webサイトを通じてマーケティングを強化したい企業に最適です。
【特徴】
【料金】
出典:HeartCore
HeartCoreは、国内で790社以上の導入実績を持つクラウド型CMSです。WordやExcelに近い直感的な操作ができるほか、既存サイトの移行サービスの提供、強固なセキュリティと、専門知識がなくても安心して運用できる環境が整っています。
さらに独自関数を活用すると、プログラミングの知識なしに画面をカスタマイズすることも可能です。
また、CMSにCRMやMAの機能も搭載しており、Webサイトから問い合わせに至った見込み客の情報を管理し、自動でメールを配信できます。
【特徴】
【料金】
決済機能やECサイト向けのテンプレートが充実した、ECサイト特化型のCMSを紹介します。
出典:Shopify
Shopifyは、WordPressに次ぐシェアを持つクラウド型CMSです。幅広いオンライン決済サービスに対応しているため、決済手段がないことによる離脱を防げます。
豊富なテンプレートがあり、自社のブランドに合ったデザインを選べるのも特徴です。テンプレートを使って簡単にECサイトを構築することもできますが、CSSやHTMLを使って細部までカスタマイズすると、より独自性のあるECサイトを作成できます。
画面操作が直感的でわかりやすいため、サイト構築が初めての方でも扱いやすいでしょう。無料体験期間を活用して、まずは使用感を試してみるのがおすすめです。
【特徴】
【料金】
※Basic・Shopify・Advancedは年払いの場合25%オフ
※Plusは3年契約の場合2,300ドル/月
出典:EC-CUBE
EC-CUBEは、日本で作られたオープンソース型CMSです。本体は無料でダウンロードでき、カスタマイズの制限もありません。セキュリティ対策やアップデートなどをベンダーに任せたい場合は、有料のクラウド版が選択できます。
ショッピングカートや会員向けのマイページ、商品検索といった機能が充実しているだけでなく、ソースコードの編集や1,100種類のプラグインにより、さらに独自のカスタマイズも可能です。必要に応じて、SNS連携やポイント機能、定期購入システムなどを追加できるため、ビジネスの成長に合わせて段階的に機能を拡張できます。
【特徴】
【料金】
出典:カラーミーショップ
カラーミーショップは、国産のクラウド型CMSです。Amazonアカウントで決済ができるAmazon Payが月額無料で利用でき、初めて自社のECサイトに訪れたユーザーにもスムーズに購入を促せます。
そのほか、配送設定や商品カテゴリ設定、Instagramショッピングとの連携など、集客や運用に便利な機能が豊富です。
また、月商10万円以下の小規模なECサイトは、初期費用・月額無料のフリープランが利用できます。フリープランから始めて、売上が増えたら販売手数料が無料になる有料プランへ切り替えるなど、規模にあわせたプラン選択が可能です。
【特徴】
【料金】
CMSを選ぶときは、導入によって解決したい課題や自社のリソース状況、予算を踏まえて総合的に比較することが重要です。
例えば、予算だけを考慮して選ぶなら、無料のCMSが最もコストを抑えられます。しかし、適切な運用には専門知識を持ったエンジニアが必要です。システムの保守・管理ができる人材が社内にいない場合、有料のクラウド型CMSのほうがコストが安く済むこともあるでしょう。
それ以外に、自社独自の業務フローが多い場合には、高額な初期費用をかけてもオンプレミス型CMSを選んだほうが、長期的に見てコストが安くなるケースも考えられます。業務フローに合わせた独自のシステムを構築したほうが、効率化と業務時間の短縮につながりやすいためです。
このように、CMS選びは多角的な視点を持つことが欠かせません。本記事を参考に、自社に最適なCMSを見つけてください。
HubSpotのContent Hubは、CRMを基盤に、訪問者の属性や行動履歴に基づいて、パーソナライズされたコンテンツの作成が可能なツールです。ノーコードで直感的に操作できる編集機能に加え、SEOやA/Bテストなどの機能も搭載しています。無料からお試しいただけますので、Webサイトの成果を上げたい方はぜひご活用ください。