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ASCII Power Review 第285回

RTX5070Tiも高速でお買い得マシンです!!

未来型キャッシュ「AMD 3D V-Cache」搭載の爆速CPU「Ryzen 9 9955HX3D」を計った!!= 「ROG Strix G16」実機レビュー

2025年05月28日 08時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 昨今のゲーミングノートPCは高価だ。特に最新ディスクリートGPU搭載機は50万円の大台を超えているモデルも多い。そこで今回ご紹介したいのが、ASUSが発売した16型ゲーミングノートPC「ROG Strix G16 G614FR」だ。

 新「ROG Strix G16」は、AMDの最新CPU「Ryzen 9 9955HX3D」を搭載する。独自の第2世代「AMD 3D V-Cache テクノロジ」が搭載された高速モバイルゲーミングプロセッサだ。AMDは「CoreUltra 9 285HX」比で、5~44%の高速化を公表している。16コア32スレッドで最大5.4GHz、キャッシュはL1/L2/L3が1280KB/16MB/128MB、TDPは55W-75Wである。

 また、Strix G16はローエンドで27万9800円、最上位構成で41万3820円と比較的手頃な価格を実現。それでいてメモリーは32GB、ストレージは1TBが搭載されている。ゲームだけでなくクリエイティブワークにも活用可能な余裕あるスペックなのだ。

 ASUSから「AMD Ryzen 9 9955HX3D」と「NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti」を搭載した最上位モデル(41万3820円)の試用機を借用した。先行してレビューしている5080、5090搭載機などとゲーミング性能をじっくりと比較していこう。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ASUS「ROG Strix G16 G614FR」27万9800円~41万3820円

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

今回は「AMD Ryzen 9 9955HX3D」と「NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti」を搭載した最上位モデル(41万3820円)を試用した

Ryzen 9 8940HX/ Ryzen 9 9955HX3D
RTX5060/5070/5070Tiに
メモリーは最大64GBストレージは最大2基搭載可能
 

 「ROG Strix G16 G614FR」はプロセッサー、ディスクリートGPU、ディスプレー、タッチパッドの異なる下記の5モデルがラインナップされている。最上位モデルにのみ、テンキーとしても利用できる「NumberPad」対応のタッチパッドを搭載している。

・G614PM-R9R5060G(27万9800円)
 Ryzen 9 8940HX/RTX 5060/2560×1600ドット(240Hz)

・G614FM-R9R5060G(30万9800円)
 Ryzen 9 9955HX3D /RTX 5060/2560×1600ドット(240Hz)

・G614FP-R9R5070G(33万9800円)
 Ryzen 9 9955HX3D /RTX 5070/2560×1600ドット(240Hz)

・G614PR-R9R5070TI(35万9800円)
 Ryzen 9 8940HX/RTX 5070 Ti/1920×1080ドット(165Hz)

・G614FR-R9X3D5070TI(41万3820円)
 Ryzen 9 9955HX3D /RTX 5070 Ti/2560×1600ドット(240Hz)/NumberPad

 メモリーは全モデルに32GBを搭載。ただしRyzen 9 8940HX搭載機はDDR-5200、Ryzen 9 9955HX3D搭載機はDDR5-5600とメモリーの規格が異なっている。

 ほかのスペックは共通だ。ストレージはPCIe Gen4 x4接続の1TB SSDを内蔵。今回の貸出機にはMicron製「MTFDKBA1T0QGN-1BN1AABGA」が搭載されていた。

 インターフェースは、USB 4(40Gbps、映像出力、Power Delivery)、USB 4(40Gbps、映像出力)、USB 3.2 Gen2 Type-A(10Gbps)×2、HDMI、有線LAN(1000BASE-T)、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetoothをサポートしている。

 本体サイズは354×264×22.6~30.4mm、重量は約2.5kg。90Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵。バッテリー駆動時間は非公表だ。

 全モデルでメモリー32GB、ストレージ1TBというシステム構成は共通。メモリーは最大64GB、ストレージは最大2基搭載可能だ。なお、ストレージスロットのうち1基は、PCIe Gen5 x4接続SSDに対応している。標準搭載しているSSDはPCIe Gen4 x4接続だが、より高速なストレージにアップグレードできるわけだ。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

日本市場向けはエクリプスグレーのみ。海外向けにはボルドーグリーンも用意

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

3つの冷却ファンで構成される冷却システム「Tri-Fanテクノロジー」を採用。また液体金属グリス、新開発の「フルワイドヒートシンク」が組み合わされており、CPUとGPUの温度を最大6度低下させると謳われている

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

試用機は16型WQXGA液晶(2560×1600ドット、240Hz/3ms、500ニト、100% DCI-P3、ノングレア)を搭載。16型WUXGA液晶(1920×1200ドット、165Hz、ノングレア)搭載モデルも用意されている

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

16型WQXGA液晶搭載モデルは、リフレッシュレートを240Hzまたは60Hzに設定できる

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

キーボードは93キーの日本語配列

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

本体前面と本体背面。背面には排気口を配置

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

右側面にはUSB 3.2 Gen2 Type-A×2、左側面には電源端子、有線LAN、HDMI、USB4×2、3.5mmコンボジャック×1を用意

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ディスプレーの最大展開角度は実測131度

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

同梱品一覧

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ACアダプターのサイズは実測179×82×25mm。ACアダプターのコード長は実測120cm、電源ケーブルの長さは実測180cm

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ACアダプターの型番は「A22-280P1A」。仕様は入力100-240V~3.2A、出力20V 14A、容量280W

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

本体の重量は実測2350g

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測781g

キーボードはテンキーレスの93キー日本語配列を採用
カメラ画質もAIノイキャンもGOOD

 

 本製品はテンキーレスの93キー日本語配列キーボードを採用。キーピッチは実測19.2mm前後、キーストロークは1.9 mmが確保されており、長文入力も快適なキーボードに仕上げられている。個人的にはEnterキーの右側にメディアコントロールキーが配置されているのは苦手だが、Enterキーの横幅が広いので、慣れればフルスピードでタイピングできそうだ。

 ゲーミングノートPCならではの機能が、複数キー同時押しに対応した「Nキーロールオーバー」。両手を駆使したゲームでも、キーの押し洩れが発生することはない。またキースイッチは2000万回以上の打鍵に耐えると謳われている。多少ラフな操作でもキーがめげてしまうことはないはずだ。

 本製品は比較的安価なモデルだが、キーごとに色を指定したり、さまざまなエフェクトを設定できる「Per-key RGB」仕様を採用。パームレスト周囲にもRGBイルミネートが内蔵されているので、気分に合わせてさまざまなライティングを楽しむことが可能だ。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

キーボードはPer-key RGB仕様で、個別に色を割り当てられる

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

キーピッチは実測19.2mm前後

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

キーストロークは1.9 mm

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

タッチパッドの面積は実測130×85mm

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

最上位モデルのみタッチパッドをテンキーとして利用できる「NumberPad」機能が搭載されている

 207万画素ウェブカメラは室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影可能。また、双方向AIノイズキャンセリング機能が搭載されており、高音質でビデオ通話に参加できる。

 なお本製品のAIノイズキャンセリングはCPU上で動作するため、GPUに負荷がかかることはない。ビデオ通話しながらゲームをプレイしても、フレームレートが下がることはないわけだ。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ディスプレー上部には207万画素ウェブカメラ、アレイマイクを内蔵

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRproオン)

注目の「Ryzen 9 9955HX3D」は「Ryzen Al Max+ 395」の120%超
「CoreUltra 9 275HX」と対等の性能を発揮

 

 試用機はRyzen 9 9955HX3D/ GeForce RTX 5070 Ti/ RAM32GB/ SSD1TBというスペックの最上位モデルだ。

 そこで、
CoreUltra 9 275HX/ GeForce RTX5090搭載
「AORUS MASTER 18 AM8H」
CoreUltra 9 275HX/ GeForce RTX5080搭載
「ROG Strix SCAR 16 G635LW」
Ryzen AI 9 HX370/ GeForce RTX5070Ti搭載
「ROG Zephyrus G14 GA403W」
AMD Ryzen Al Max+ 395搭載
「ROG Flow Z13 (2025) GZ302」
と性能を比較してみよう。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

今回の試用機のスペックはRyzen 9 9955HX3D/ GeForce RTX 5070Ti/ RAM32GB/ SSD1TB

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ベンチマークは、「Armoury Crate」のオペレーティングモードを「Turbo」、GPUモードを「Ultimate」に設定して実施している

 CPU性能については、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は38864、CPU(Single Core)は2154、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1893、CPU(Single Core)は128となった。

 冒頭でも述べたが、「Ryzen 9 9955HX3D」はAMDの最新CPUで第2世代「AMD 3D V-Cache テクノロジ」が搭載されていて、AMDは「CoreUltra 9 285HX」比で、5~44%の高速化を公表している。16コア32スレッドで最大5.4GHz、TDPは55W-75Wである。

 「Ryzen AI 9 HX370」(12コア24スレッド、5.1GHz、15-54W)搭載のZephyrus G14とマルチコア性能を比較すると、「Ryzen 9 9955HX3D」の結果は、R23で166%相当、2024は153%相当と大きく上回った。

 「Ryzen Al Max+ 395」(16コア32スレッド、5.1GHz、45-120W)搭載の「ROG Flow Z13 (2025) GZ302」比では115%と122%で、こちらも「Ryzen 9 9955HX3D」が上回っている。

 ただし、「Ryzen AI 9 HX370」と「Ryzen Al Max+ 395」には50TOPSのNPUが搭載されている。CPU性能とNPU性能のどちらを優先すべきか悩ましいところだ。

 インテルCPUとの比較では、「CoreUltra 9 275HX」(24コア24スレッド、5.4GHz、55-160W)搭載のStrix SCAR 16比ではR23で101%、2024では90%、同AORUS MASTER 18では112%と96%だった。

 「CoreUltra 9 275HX」はコア数が1.5倍、MAXTDPは2倍以上あるうえ、ともにフラッグシップのゲーミングノートなので冷却システムも最高級、「Ryzen 9 9955HX3D」はよく健闘している。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は38864pts、CPU(Single Core)は2154pts、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1893pts、CPU(Single Core)は128pts

RTX5070Tiは5090の82%、5080の93%をマーク
シーケンシャルリードは7000MB/s超え

 

 3Dグラフィックス性能については、「3DMark」のPort Royalは11474、Time Spyは17043、Fire Strikeは39022、Wild Lifeは96630、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは46466(非常に快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは22079(非常に快適)となった。

 「3DMark」の平均スコアで比較すると、「ROG Strix G16 G614FR」は5090搭載機の82%相当、5080搭載機の93%相当の値を記録したことになる。価格差を考えると、5070Ti搭載機のコスパは高い。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

「3DMark」のPort Royalは11474、Time Spyは17043、Fire Strikeは39022、Wild Lifeは96630

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは46466(非常に快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは22079(非常に快適)

 AI処理性能を計測する「Procyon」のAI Computer Vision Benchmarkは1307となった。下記グラフに掲載されているROG Zephyrus G14のスコアは、GeForce RTX 5070 TiではなくRyzen AI 9 HX 370のNPU「AMD Ryzen AI」で計測したものだ。

 ROG Strix G16が採用したRyzen 9 9955HX3DにはNPUは搭載されていない。ディスクリートGPUを利用できるとはいえ、AI処理時の消費電力が大きいことはROG Strix G16のウィークポイントとなる。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

「Procyon」のAI Computer Vision Benchmarkのスコアは1307(RTX5070Ti)

 ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「MTFDKBA1T0QGN-1BN1AABGA」を搭載しており、「CrystalDiskMark 8」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7265MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は6154MB/sとなった。

 本製品はふたつのストレージスロットのうち、1基がPCIe Gen5 x4接続に対応している。将来的により高速なSSDにアップグレードできることは本製品の大きなアドバンテージだ。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「MTFDKBA1T0QGN-1BN1AABGA」を搭載。「CrystalDiskMark 8」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7265MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は6154MB/s

 バッテリー駆動時間については、「Armoury Crate」のオペレーティングモードを「バランス」、GPUモードを「エコモード」、ディスプレー輝度を40%に設定して「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ7時間30分駆動した。GPUモードを切り替えるには再起動が必要だが、エコモードであればモバイル用途にも活用できるわけだ。

「Ryzen 9 9955HX3D」搭載「ROG Strix G16」実機レビュー

「Armoury Crate」のオペレーティングモードを「バランス」、GPUモードを「エコモード」、ディスプレー輝度を40%に設定して「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行した際は7時間30分動作した

「ROG Strix G16 G614FR」は
快適なゲーム体験とクリエイティブ作業環境を求めるユーザーにオススメ

 

 「ROG Strix G16 G614FR」は、比較的手頃な価格帯ながら、最新の「AMD Ryzen 9 9955HX3D」と「NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti」を搭載した高性能な16型ゲーミングノートPCだ。

 32GBの高速メモリーと1TBのSSDを標準搭載。ハイリフレッシュレート対応のディスプレーは100% DCI-P3の色域を備えており、ゲームだけでなくクリエイティブワークにも十分な余裕あるスペックを備えている。最大64GBのメモリーを搭載し、PCIe Gen5 x4接続SSDにアップグレードできるのもポイントが高い。

 快適なゲーム体験とクリエイティブ作業環境を求めるユーザーに、「ROG Strix G16 G614FR」は強くオススメできる1台だ。

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