エージェントとの「ロープレ機能」も2025年内に国内展開
24時間365日、見込み客を育成 Salesforceの「AIエージェント」で商談は増やせるか?
2025年06月06日 11時15分更新
セールスフォース(Salesforce)は、2024年に自律型AIエージェントである「Agentforce」を発表して以降、サービスやマーケティング領域のエージェントを国内展開しており、国内企業の活用も始まっているという。
そこに加わったのが、創業時からの本丸といえるセールス領域の「Agentforce for Sales」である。現在、インサイドセールスをこなす「セールスディベロップメント」を国内提供しており、エージェントとのロープレ(ロールプレイング)トレーニングが可能な「セールスコーチング」も2025年内に提供予定だ。
2025年6月5日に開催された説明会の内容から、Agentforce for Salesの詳細と、PoCを開始した日本M&Aセンターの取り組みについて紹介する。
セールスフォースフォース・ジャパンの専務執行役員 製品統括本部 統括本部長である三戸篤氏は、「Agentforceが日本で評価されている背景は、深刻な労働力不足。一方で、顧客側の要望は日々高まっており、『デジタル労働力』であるAgentforceの与えるインパクトは大きい」と説明する。
商談を増やす「セールスディベロップメント」とトップ営業を育てる「セールスコーチング」
Agentforceは、セールスフォースの統合プラットフォーム上に実装された自律型AIエージェントだ。企業のビジネスデータに紐づく各アプリケーションと連動し、デジタル労働力として業務をサポートする。
そして、CRM・SFAツール「Sales Cloud」と連動するエージェントが、Agentforce for Salesである。現在、セールスディベロップメントのエージェントを、2025年4月から国内提供している。
セールスディベロップメントは、インサイドセールスの業務を担う、「商談を増やす」ためのエージェントだ。「未対応リードによって機会損失が発生している」「忙しくて新規開拓の時間がとれない」といった課題を解決するという。
具体的に何を任せられるのか。まず、エージェントが見込み客にメールでのアウトリーチをする。そして、適宜、質問に回答したり、反対意見の切り返しをしながら、商談のアポイントメントまでとってくる。
ポイントは、「同時並行」「チャネル」「24時間365日対応」だという。人間では、複数の見込み客に対して丁寧な対応をするのは限界がある。エージェントであれば、同時進行かつあらゆるチャネルで、24時間365日変わらない品質で対応できる。ただ、チャネルに関しては、現在メールのみに対応しており、今後SMSやチャットなどに拡大予定だ。
エージェントによるアウトリーチは、特定の人物を指定する「手動」と、条件にそって任せる「自動」の2つの方法が用意される。メールの内容は、見込み客の属性にあわせてパーソナライズされ、予めプロンプトが定義されているため細かく指示する必要もない。商談まで進んだ場合は、エージェントが担当者の空き時間を提示、顧客は希望の日程を選択するだけで済む。
管理画面では、エージェントの対応状況を一元的に把握でき、適切な回答ができるようナレッジを与えたり、やり取りの頻度や上限、任せる範囲などのルールを設定することも可能だ。
加えて、2025年内に国内提供予定なのが「セールスコーチング」の機能だ。忙しい営業マネージャーの代わりにエージェントが壁打ちに応え、営業データに基づく実践的なアドバイスをしてくれる。
具体的には、一人で実施するエレベータトーク(5分間のピッチ)とエージェントとのロープレに対応。終了後には、商談フェーズごとのコーチングポイントに基づき、フィードバックが送られる。これまでのコーチング機能との違いは、知識のインプットのみならずアウトプットとして「実践」できるところだという。
